東京千代田区の日大病院スポーツ整形外科外来が足関節靱帯損傷を解説します

足関節靱帯損傷

<足関節靱帯損傷の症状>
足首をねじった直後から、激しい痛みと腫れが生じます。内出血がひどくなる場合もあります。

■診断
外側靭帯損傷(前距腓靭帯、後距腓靭帯損傷)は重症度によって3段階に分けて考えます。

Grade I:
靭帯が引き延ばされたかわずかに損傷を受けた状態で、腫れや痛みはそれほど強くありません。
Grade II:
靭帯の中程度の損傷があり、痛みのために体重をかけて歩くのは難しい状態です。
Grade III:
靭帯が完全に断裂し、足関節の緩みを生じます。非常に強い腫れと痛みで1~2日後には踵の周辺が内出血で変色します。
<足関節靱帯損傷の原因>
足関節の捻挫はスポーツ活動に伴って頻繁に生じる外傷の1つです。多くは足関節を内側に捻る(内返し、内反)状況で発生します。この場合は前距腓靭帯、後距腓靭帯の損傷や二分靭帯(Y靭帯)の損傷が引き起こされます。逆に足関節が外側に捻られた場合(外返し、外反)には三角靭帯の損傷が生じることがあります。数か月過ぎても痛みが変わらない場合には、軟骨損傷(離断性骨軟骨炎)を生じている可能性があるのでMRIでの検査が必要になります。
<足関節靱帯損傷の治療>
■初期治療
とにかくRICEです。けがをしてから24~48時間の継続が理想的です。痛みが強い場合は、骨折していることもあり得るので、医療機関を受診するようにしましょう。

■その後の治療
重症度によって治療方法が異なりますので、主治医とよく相談して病態を自分でも理解して、治療に当たることが大切になります。
Grade I,IIでは手術の必要はなく、1~2週間の固定の後に足関節装具やテーピングなどを使用します。
Grade IIIでは2~3週間の固定が必要ですが、手術が必要になることはほとんどありません。

■リハビリテーション
重症の場合には約3カ月かけて次のようなメニューを段階を追って進めていきます。
  ・アイソメトリック訓練(関節を動かさずに筋肉を収縮させる)
  ・関節可動域訓練・ストレッチング
  ・バランス訓練
  ・ウォーキング、ジョギング、ランニング
  ・競技ごとに関連したトレーニング

■慢性化した場合
何度も捻挫を繰り返してしまう場合。スポーツをした後に腫れや痛みが出現するようになった場合。足関節がゆるい状態で激しいスポーツを継続すると、腓骨筋腱の損傷やコンパートメント症候群を生じることがあります。原因や受胎を良く調べてもらって、状況にあった治療法を選択しましょう。リハビリから関節鏡手術や靱帯再建術まであります。

■予防
競技特性に合ったシューズを使用する。
足関節周囲の筋力強化をしっかり行う(特にオフシーズン)。
テーピングや装具で補強する。
路面の不整な場所でのランニングは控える。