東京千代田区の日大病院スポーツ整形外科外来が離断性骨軟骨炎を解説します

離断性骨軟骨炎

野球肘(内側型・外側型)
<症状>
投げ過ぎが原因といわれていますが、肘に負担のかかりやすい投球ホームで投げていると投げすぎなくとも週末しか練習していなくても、肘が痛くなることがあります。ひどくなると関節が腫れて水が溜まり、肘の曲げ伸ばしに制限が生じる場合もあります。
内側型・内側側副靱帯損傷
<原因>
内側型野球肘の代表として肘関節・内側側副靱帯損傷(MCL損傷)が挙げられます。投球動作ではMCLが引き伸ばされる方向に力が加わります。そのため投球動作を繰り返していると靱帯に慢性的な炎症が生じたり、成長中の子供の場合には靱帯の付着部の骨が剥離したりします。大人の場合には脆弱化したMCLが完全断裂に至る場合もあります。
<治療>
治療法は程度によって異なります。初期であれば十分な安静、筋力強化で軽快する場合がありますが、MCLが機能しない状態や持続する疼痛がある場合にはMCL再建術(腱移植術)を考慮しないと治らない場合があります。
外側型・離断性骨軟骨炎
<原因>
小中学生の野球少年に生じる代表的な疾患に離断性骨軟骨炎(osteochondritis dissecans, OCD)があります。ボールを投げるとき肘関節の外側関節面(上腕骨小頭)には大きなストレスがかかります。これが過剰に繰り返されることで関節面が壊れてしまうと、表面の軟骨とその下の骨がはがれて生じるのです。これは1回の外力ではなく、繰り返される投球、つまりオーバーユースに起因しています。しかし、投球フォームが悪いと肘に必要以上の負荷がかかり、投げすぎなくても生じることがあります。
<治療>
病変部の状態によって透亮期、分離期、遊離期に分類されます。この病期によって治療法が異なりますが、透亮期~分離期初期までは投球禁止を含む安静と慎重な経過観察で軽快する場合があります。また、分離期(初期も含む)~遊離期は、手術治療を考慮します。ドリリング、骨釘移植、遊離部切除あるいは遊離部再固定、骨軟骨柱移植などいくつかの手術法が選択されます。患者様のニーズや状態、成長のタイミングに合わせて治療法を決定します。どの治療法を選択しても一時投球は禁止しなければならなくなるので、選手のモチベーションが下がらないように御家族、監督、コーチなども含め患者本人の精神的なケアーも必要となってきます。
また少年期の肘関節障害は下肢筋力の低下、体幹筋力低下などにより肩・肘に頼ったフォームになっていることも考えられますので、この競技復帰への準備期間に総合的に調整していくことが望ましいでしょう。当院ではリハビリテーションの専門スタッフと連携して投球フォームの改善も行っております。